【売約済】アルバン・ベルク四重奏団／シューベルト:弦楽五重奏曲ハ長調 D.956

シューベルト
弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956

アルバン・ベルク弦楽四重奏団
ハインリヒ・シフ（チェロ）
録音：1982年12月

アルバン・ベルク四重奏団のシューベルト解釈が明確に示された演奏で、ウィーンの伝統を肌で感じ取れる名演です。チェロで加わったシフもアルバン・ベルク四重奏団の意図を十二分に理解し、決して無機的には陥らない緊密なアンサンブルで、叙情と情熱の両立を生み出しています。

聴いているとこの崇高なまでに澄み切ったような抒情性と、どこまでも上り詰めていくような永遠性、そしてもうこれ以上の弦楽五重奏曲はあり得ないと言わんばかりの完璧さをこの曲は秘めています。ベートヴェンからの呪縛から解き放たれ、天才がベートヴェンの弦楽四重奏曲を越えようとする決意や意志をもしっかりと聴きとれます。

シューベルトの最晩年の作品で、D.960のソナタと並ぶ深く、悲しみに満ちて、そして美しい音楽。31年の生涯に奇跡的に美しい音楽を作り続けたシューベルトの白鳥の歌にふさわしい内容。もちろん悲しいとは言っても、打ちひしがれたような悲しみではなく、長いたびを終えた友人をねぎらうような優しさのある悲しみである。音楽評論家：吉田秀和氏は、この作品を描くのに”シューベルトの”烈しい深さ”と不思議な呼び方をしているが、至極的を得た表現。モーツァルトやブラームスの弦楽五重奏は、ヴィオラを2本使っていたが、シューベルトの五重奏はチェロを2本配置する。好みは別にして、群を抜いてすぐれた内容を持っているのは、言うまでもなくシューベルトだろう。本当に汲めども尽きぬ魅力を持っている。そしてアルバン・ベルク四重奏団とハインリヒ・シフの演奏は、やはりこの曲の魅力を鋭く伝えている。第1楽章の冒頭から何が始まるのだろうと期待をさせ、楽章の最後には体の中を掻き毟るようなフォルテッシモを演ずる。その間の音楽は、他の作曲家では味わえない歌曲のような美しさ、けれども時にはひょっとしたらこのまま生涯を終えてしまうのではないかという諦念さえ感じることさえある。アルバン・ベルク四重奏団のベスト演奏。

国内初期盤、帯無し、盤面傷無し　
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